自分の作業効率に直結する道具の一つがキーボード。使う人の環境さ作業内容によって使い勝手の良いキーボードは違うはず。今回僕が買ったFilcoさんの60%キーボードMajestouch MINILA-R Convertibleは噛めば噛むほど味が出る、スルメのようなキーボードでした。
今回はそんなマジェスタッチ ミニラRを2ヶ月間使いまくって感じた使用感やクセの理由をレビューです。
キーボードの老舗が作った60%キーボード
1992年からキーボード制作を始めた国産メーカーのダイヤテックの主力ブランドがFILCO。メカニカルキーボードはとにかく豊富な種類が特徴です。会社名よりもフィルコという名称が有名で、僕はフィルコという会社だと思っていました。
フルサイズ、TKL(テンキーレス)はかなりの品数があって、バリエーションも豊富。そんなFILCO唯一のコンパクトサイズキーボードが、フルサイズよりも60%のサイズに抑えた本気Majestouch MINILA-R Convetribleです。
この機種のポイントをざっくり解説
- サイズはA4サイズの半分ほど。13インチノートパソコンの上に置く尊師スタイルにピッタリ。
- 重いので持ち運ぶことは少なそう
- Bluetooth接続で4台までペアリング可能
- スイッチの種類は全部で4種類。好きな打鍵感を選べる!
- 癖の強い親指ファンクション
- MacやiOSユーザーに嬉しいMacモードあり!
サイズはA4サイズの半分
60%キーボードの代表格HHKBとサイズを比較してみます。
ミニラ:W297×D124×H40mm・680g
HHKB:W294mm×D120mm×H40mm ・540g
公称サイズはほとんど一緒です。実際に持ち比べてみてもサイズ感に違和感はありません。
60%キーボード愛好家の考えは「コンパクトは正義!」
快適性を犠牲に、デスク上のスペース確保を優先しています。僕もコンパクトキーボードを好んで使っている理由はデスク上のスペース確保。幅100cmのデスクに置いても圧迫感を与えません。
重さは690gと正直いって重い
重さは公称で680gとかなりのヘビー級。こちらもHHKBと比べてみると全然違います。マジェスタッチミニラRの方がずっしりとした重みを感じます。
ちなみに僕は重いことは悪いと考えていません。安定性や剛性の向上にもつながりますからね。
ブルートゥース接続で4台までペアリング可能
このキーボードはUSBケーブルを使った有線接続のほかに、4台まではBluetoothで接続できるようになっています。
僕の場合は
- MacBook air
- iPad mini
- iPhone SE
- 職場のテレワーク用パソコン
という4台を接続しています。※有線接続は使っていません。
ゲームをする人なら速度重視かもしれませんが、僕は文字ライティングが中心。Bluetooth接続でも遅いと感じたことはありません。一般的なタイピング速度ならそこまで気にしなくても大丈夫だと思います。
スイッチの種類は5種類
メカニカルキーボードの使用感を大きく左右するスイッチは定番のCherry MXを採用。種類と特徴はこのようになっています。
- 青軸:カチャカチャと音が鳴って、打鍵感も心地よい。うるさくて周りには迷惑。
- 茶軸:青軸よりは小さいものの、カチャカチャとした音と打鍵感が打っている感を与える。うるさくて周りには迷惑
- 赤軸:青軸や茶軸よりも静かで打鍵感も少しスムーズ。でも静かな職場だと目立つ音。
- 静音赤軸:赤軸の静音性を追求したモデル。打鍵感はほぼそのままに静かな打鍵音。
Cherry MXシリーズのスイッチは信頼があります。FILCOが扱っているのも、そのような信頼性の高さが影響していると思います。僕は静音赤軸を買いましたが確かに静か。パンタグラフに近い静音性で職場でも気にされることはあまりありません。
僕は他にも茶軸、赤軸を使ったことがあります。カチャカチャという音は「文字打ってるー!」って感じを強めてくれてタイピングが楽しくなります。
でもうるさすぎて。家族が寝ている時に記事を作っている僕はあまり使えないんです。だから静音赤軸を選んでおいてマジで正解でした!
クセの強すぎる親指fnキー
このキーボードの最大の特徴がスペースキーの横に配置されたファンクションキー(fnキー)です。60%サイズのキーボードはキー数が少ない分fnキーを駆使して1つのキーに複数の役割を与えてなければなりません。
そこでfnキーを使いやすい位置にとスペースキーの横に置くことにしているみたいですが、これがまあクセで。
すぐになれる人はほとんどいないと思います。最低でも1ヶ月使っていると感覚が馴染んでくるはずです。毎回fnキーを押すのは手間かと思うかもしれませんが、慣れるとホームポジションから手を動かす距離が狭くなった分楽になってきました。
ちなみに僕の場合は
- 右側fnキー:右側のカーソル、F1〜F5
- 左側fnキー:Ps/SR,ScLk,Pa/Br,Ins,Home,PgUp,Bs,Del,End,PgDn,F6〜F12
とはいえ実際には左側のfnキーはほとんど使いません。もともとPageUpやDownを使わないし、HomeやEndはショートカットはMacの「ctrl+A」と「ctrl+E」で代用しています。
右側のfnキーは矢印キー専用です。右側fnキー+ESDFキーで矢印になります。
- fnキー+Eで↑
- fnキー+Sで←
- fnキー+Dで↓
- fnキー+Fで→
ゲーム操作で有名なWASDの矢印キーボードから1つずつ右にずれている配置です。僕はゲームをしないのでWASDを使ったことはありませんが、WASDを使う時は小指がshiftキーに配置することが多くてWASD自身は中指・薬指・小指を使うことが多いらしいですね。そう考えたらわざわざWASDに矢印を配置せずにESDFに置いても使い勝手は一緒だと思います。
右側の矢印キーは使ったことがありません。このキーボードを使った後に会社の支給されたキーボードを使うと頭がゴチャゴチャすると思っていましたが、使ってみると意外に馴染めました。人ってすごい!
使ってわかったデメリット
これだけクセの強いキーボード、サイズを得る代わりに犠牲になった操作性ももちろんありました。
- fnキーが場所をとって英字と日本語の切り替えがやや面倒
- 厚みがあってパームレスト必須
- キーはフラットで奥に行くほど打ちにくい
- 角度調整が1段階で、しかも浅い
fnキーが場所をとって英字と日本語の切り替えがやや面倒
僕はMacでこのキーボードを使うことが多いです。Macの日本語配列仕様だと、スペースキーの両隣には英字とかなを切り替えるキーがあってこれがめちゃ便利なんです。でもこのキーボードだとその場所にはfnキーが。
つまり英字とかなを変換する時に親指を外側に移動させる距離が増えるんです。この指の状態が僕の手には合わなかったようで、英字やかなの切り替えをしたと思ったらfnキーを押していたということも少なくありません。
慣れようとも思いましたが、Macにはctrl+スペースで英字とかなを切り替えられるショートカットがあるのでそれで対応しています。これになれると英字配列のキーボードも使えるようになるのでお得と考えています。
shiftキーを押しながらの作業に不向き
テキストやファイルを複数選ぶ時によく使うshiftキーとの組み合わせも苦手な操作の一つです。一般的なキーボードならshift+矢印やhomeで対応できるのに、このキーボードはそれにfnキーを組み合わせなければなりません。
この操作が増える作業をする時はさすがに面倒だなあと思ってしまいます。
厚みがあってパームレスト必須
このキーボード、底面からキーの上部までの高さがかなりあります。これは設計の関係なのか、はたまたわざとそういうデザインにしたのかは定かではありません。
どんな影響があるのかというと、デスク上に置いて使うと手首が上を向きます。するとどうなるのか、
手首が痛くなります。
これはパンタグラフやロープロファイル(薄型)のメカニカルキーボードを使う人には想像できないのかもしれません。が、実際に大量のテキストを打ち込んでいると手首に疲労を感じます。
解消するために同じfilcoさんのパームレストを使っています。このパームレストは同じメーカーさんということもあって高さもサイズ感もバッチリ。これを使うと手首の痛みはなくなります。
パームレストがある手首への負担は減りますが、パームレスト分のスペースは取られてしまいます。省スペースがよくて導入しているのに机に物が増えるという状況に陥ってしまいました。
キーはフラットで奥に行くほど打ちにくい
高級なメカニカルや静電容量無接点キーボードってだいたいキーが手前から奥に向かって湾曲しているんです。ぼくはそのタイプのキーボードが好きで、もちろん打ちやすいんです。
このキーボードは奥に行くほど上がっていくものの、湾曲しているタイプのような角度づけはされておらずほぼフラット。今までキー面が湾曲しているタイプを使っている人には結構な違和感を感じると思います。
湾曲させるとコストアップ不可避!どちらがいいかは悩みどころです。ちなみに僕は打ちやすさを追い求めて高いキーボードの道をすすんでいるのでそのあたりのコストはあまり重要だと考えていません。
角度調整が1段階で、しかも浅い
角度調整も1段階しか対応していません。他のキーボードには4度と8度のように二段階で設定できる物が多いのに。これが二段階あるだけで、前に書いた湾曲がなくても打ちやすさが向上するはず。ここはケチってほしくはなかったと思います。
こんな人におすすめ
このキーボードがどんな人に向いているのかを考えると、こんな感じになりました。
- キーボードをコンパクトにおさめたい
- 無線でデスク上をスッキリさせたい
- メカニカルキーボードが好きだ
- JIS配列が使いたい
- 複数端末を繋げたい
- windowsでもMacでもiOSでもandroidでも、違うOSを1つのキーボードで使いたい
デスクの上はとてもスッキリします。60%サイズ+ワイヤレスのシュッとしている感じは格別。僕のように基本的には文字を打つことがメインの人には充分かもしれません。
これを買う上でたくさんのコンパクトサイズキーボードを調べました。JIS配列(日本語配列)・心地よい打鍵感・コンパクトなサイズ(60〜70%サイズ)・ワイヤレスとなると選択肢がほぼありません。
だいたいこの4機種に落ち着くはず
- PFUさんのHHKB(静電容量無接点方式)
- Majestouch MINILA-R Convertible(メカニカル式)
- LogicoolのMX keys mini(パンタグラフ式)
- keychronのK2(メカニカル式)
予算で選んでも良さそうですが、キー配列がそれぞれ違うので自分に合った配列を考えて検討するのが良さそうです。
向いていない人
コンパクトさをウリにしてほかを犠牲にした
fnキーで対応するキーをよく使う作業が多い人
これはもうコンパクトさを理由に犠牲になった部分です。例えばF1〜F12をよく使う人やshift+矢印キーで複数選択を多用する人、あとは数字をバシバシ打つ人。
最も相性が悪いのがExcelだと思います。
F2を押してセルを選択、数字を入力、数式を入力するので複数のセルを選択する。こんな作業をする時はほぼ全ての動作にfnキーが必要です。fnキーの良さは使用頻度は少ないけどあれば嬉しいキーを裏に入れようということなので、そもそも頻繁に使うものを裏に隠してしまうと本末転倒になってしまいますね。
エクセルユーザーはテンキー付きのフルサイズキーボードを使うのが最も幸せだと思います。どうしてもそれが嫌な場合は、少し大きくなりますが75%サイズのkeychronのK2+テンキーか、archissのmaestro2Sというコンパクトなフルサイズキーボードばベターではないでしょうか。
HHKBと迷っている人へ
majestouch MINILA-R ConvertibleとHHKB Professional type-Sの両方を持っている僕が、HHKBと迷っている人へ選び方をお伝えします。
僕はどちらも日本語配列(JISキーボード)を持っています。
HHKBを買うべきな人をざっくり解説すると
- 右下の矢印キーを頻繁に使う
- キー配列を細かく編集して自分だけのキー配列を作りたい
HHKBには右下に独立した矢印キーがあります。majestouch MINILA-R Convertibleにはそれがありません。本体裏面のdipスイッチで右下の矢印キーを表に持ってくることもできますが場所は完全な右下ではないので、そこに違和感を覚える人は多いはず。
また、HHKBにはキー配列を自由に変更できる自社ソフトがあります。それを使って自分の使いやすいようにキー配列を編集できるのは大きな強みかもしれません。
では、majestouch MINILA-R Convertibleがあっている人をざっくり解説します。
- メカニカルキーボードの打鍵感がいい
- このキー配列が最高すぎる
- 60%サイズで日本語配列ユーザーだ
キー配列以外でHHKBとの性能の差はあまりありません。ただこのキーボードの大きな特徴がメカニカル方式で5つの軸から選べること。僕は静音赤軸を使っていますが、茶軸や青軸のカチャカチャ感が好きな人はmajestouch MINILA-R Convetribleを選ぶべきです。
ちなみにHHKBは高いけど、majestouch MINILA-R Convertibleなら買える。という理由なら買わない方がいいです。
買ってもたぶん
HHKBってどんな感じなんだろう
使いたい
使いたい
使いたい
という欲望が湧き出てきます。そして結局HHKBを買ってしまうんです。すると結局支出は5万円を超えることに。キーボードの打鍵感の違いを楽しみたくて複数持ちたい人以外はこんな結末が待っています。
HHKBが最初から欲しいならお金を貯めてHHKBを買った方が幸せです。ガジェットを買いまくっている僕としては、妥協して買ってもどうせ別のものが欲しくなって結局コスパ悪い説はかなり正しいと思います。
HHKBからの妥協じゃなくて、60%サイズで日本語配列のキーボードを探している人は盛大に悩んでください。
ようこそ60%サイズキーボードの沼へようこそ
今回ご紹介したmajestouch MINILA-R Convetribleは独特の配列が特徴。なかでも親指でfnキーを使いこなして、極力ホームポジションから指を動かすことなく多くのキーを使うことがコンセプトのクセキーボードでした。
僕はキーボードが大好き。他のキーボードにはない魅力があるので、その日の気分で使い分けるようになりました。大半の人はこんな気持ち悪い使い方をせずに使い込んでいくと思いますが、このキーボードは僕のキーボード沼を1段階深みにはめてくれたきっかけになった名機だと思っています。
日本語配列の60%キーボードはそれだけで希少。さらにメカニカルとなるともう選択肢はほとんどありません。このキーボードじゃないとダメという人が出てくる個性を持ったキーボード。ぜひ使ってみてください。
コメント